スキークロス日本代表

Satoshi Furuno

1 スキークロスの基本

オリンピック出場条件

スキークロスの中で一番大きな大会、それはオリンピックです。オリンピックに出場するためにはどのような過程があるのかを説明していきます。
まず、スキークロスの大会は上記のようなピラミッド構造になっており、その頂点がオリンピックになっています。最下層は「 FISレース」と呼ばれ、競技者登録をした選手が全員参加可能な大会です。その大会でFISポイントを50点以上または、アルペンのポイントをある程度持っている選手は2段目の「コンチネンタルカップ」に参加可能となります。「コンチネンタルカップ」とは、ヨーロッパカップ、ノースアメリカンカップなどがあり、いわゆる各大陸別の大会となります。この1段目、2段目においてFISポイント100点以上(一カ国二人目以降は125点)を獲得すると3段目の「ワールドカップ」に参加することができます。そしてこのワールドカップが基本的には最高峰の大会となります。スキークロスのワールドカップは、例えばサッカーやバスケのように4年に1回行われるものではなく、毎年13~16戦ほど行われるシリーズ戦となっています。そのため、通常のシーズンはこのワールドカップを転戦し、総合優勝(クリスタルトロフィー)が最高の栄誉となります。
では、4年に1度行われるオリンピックの参加条件が何かというと、その選考はワールドカップで行われます。オリンピックが開催される前年からオリンピック直前までの約1年半の期間で行われるワールドカップにおいて、獲得した合計ポイントの上位32名がオリンピックに参加できます。
ここでいうポイントとは、「ワールドカップポイント」をさし、上記のFISポイントとは別のものです。ワールドカップポイントはワールドカップにおいて1位〜30位までに入ると付与されるポイントであり、1位が100点、2位は80点、3位60点と続き、30位が1点といった形で付与されます。オリンピック選考期間中の約1年半で20戦ほど行われるワールドカップでこのポイントを積み上げ、上位32人が選ばれるというシステムです。ただし、オリンピックには「国枠」があり、1カ国最大4人となっています。つまり、強豪国はこの32人の中に6人、7人入ってくる場合があります。その場合、例えばフランスの5番手はランキング20位だとしても参加することができず、その分繰上げでランキング33位の選手が出場することができるという仕組みになっています。
この国枠があるので、大体ランキング35位〜40位くらいまでの選手が出場できるという仕組みになっています。

ワールドカップのスケジュール&ルール

ここでは、ワールドカップのスケジュールについて解説します。年間13~16戦ほど行われるワールドカップは12月〜3月の4ヶ月に行われます。12月からは毎週試合が行われるというハードなスケジュールとなっています。多くの場合1会場で5〜6日滞在することになります。1日目に会場入り、2日目、3日目に公式トレーニングが行われます。スキークロスの場合はインスペクションと呼ばれる下見を行い、その後1、2本コースを滑走することが出来ます。このトレーニングにおいて、コース状況を確認しレースに挑むことになります。4日目に予選が行われます。予選は1人で滑走し、タイムで争います。タイムの速かった上位32人が決勝トーナメントに進出し、5日目に決勝が行われます。決勝トーナメントでは、4人×8ヒートに分かれ、その1ヒートで上位2人が次のレースに勝ち上がるという仕組みです。最終的に勝ち残った4人で決勝戦(BIG FINAL)を行い優勝者を決めるという仕組みです。BIG FINALまで勝ち残ると4本レースをすることになるので非常にハードなルールです。

2023W杯スケジュール

今季のWCスケジュールは下記の通りです。
12月の1週目から開幕し3月末まで19戦が予定されています。

12月

5〜8日

Val Thorens (FRA) 2戦

11〜12日

Arosa (SUI)

19〜22日

Innichen (ITA) 2戦

1月

19〜21日

Nakliska(CAN) 2戦

26〜28日

St.Moriz (SUI)

31日〜

Allege (ITA)  2戦

2月

〜3日

Allege (ITA) 2戦

9〜11日

Bakuriani (GEO) 2戦

22〜25日

Reiteralm (AUT) 2戦

3月

1〜3日

Overwiesethal (GER)2戦

15〜17日

Veysonnaz 1戦

21〜24日

Idre (SWE) 2戦

2 レースの見どころ

レースの見どころ

スキークロスはスタートが大きな鍵になってきます。スタートで先頭に立つと勝ち上がる確率は一気に上がるため、スタートに集中力を高めます。
スタートは比較的細かく、テクニカルなセクションです。俊敏な動きが得意な選手はスタートで前に出て逃げ切るというレース展開を得意としています。
一方、アルペンから転向してきた人の多くはターンが得意なため、コース中のターンセクションで一気に抜き去るレース展開が得意な選手もいます。
どの選手がどのようなコース、セクションが得意なのかを知るとよりレースを面白く観戦できると思います。
いずれにせよ、ゴールまで何が起こるかわからないのがスキークロスの魅力でもあり、多くのレースで大どんでん返しも起こります。

本人からの視点

なかなか見ることができない、北京オリンピック公式トレーニングコースでの本人視点からの映像です。是非お楽しみください。

3トレーニングや準備プロセス

トレーニングや準備のプロセス

オフシーズンのトレーニング

スキークロスのシーズンは大体9月〜3月の約半年間です。そのためシーズンが終わった4月、5月から9月までがオフシーズンとなり、
その期間にフィジカルの強化を行います。スキークロスの競技特性上、「デカくて動ける」体が必要です。
WC上位30人の平均身長は約186cm、平均体重は約90kgとかなり大きいことがわかります。そういった選手たちと競り合うためには、強靭な体が必要ということが
わかると思います。
絶対的なパワー、瞬発力に加え、1分を超えるコースを滑る持久力、有酸素能力も必要となってくるため、オフシーズンにはそれら全てを鍛えるため多様なトレーニングを行っています。

シーズン中のトレーニング

例年9月頃からヨーロッパの氷河にてシーズンを開始します。オフシーズン中に鍛えたフィジカルをスキーに活かすため、まずは基礎的なフリースキーから始め、アルペンスキーのトレーニングを経て
クロスコースでのトレーニングを開始するのが通常の流れです。12月の開幕に向け1ヶ月〜2ヶ月雪上でのトレーニングを行います。
雪上でのトレーニングを午前中に行い、夕方にはオフシーズンで鍛えたフィジカルを維持するためにウエイトやバイクでのトレーニングを行います。1日の消費カロリーは5,000キロカロリーを超える時も多々あるため体重維持もハードなものです。

4 装備やギアの紹介

装備やギアの紹介

・スキークロスの装備

スキークロスで使う装備は基本的にアルペンスキーで使うものと非常に似ています。
特にGS(ジャイアントスラローム)の道具とほとんど同じものを使用します。アルペンスキーと違うところとしては、スキー板のラディウス(サイドカット)のルールがないということです。
多くの選手がR27もしくはR30の板を使用します。(※ラディウスが小さいほどターン孤を小さくしやすい)また、レースウエアについてもこれまでは、スキークロス独自のルールがありましたが、昨年からのルール変更に伴い、アルペンスキーと同様のワンピースも使用可能となりました。
その他、ブーツや、ヘルメット、ストックなどはアルペンスキーと同様の規定です。

・古野慧使用マテリアル

スキー:ELAN
ブーツ:SALOMON
ストック:KOMPERDELL
ヘルメット: BOLLE
ゴーグル:BOLLE
ワンピース:GOLDWIN
グローブ:松岡手袋
脊椎プロテクター:POC